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第14章 感覚


「あいつもお前を傍に置きたいと思っていたらしい。
だが自分ではお前を幸せにする事が出来ないと言って、俺の要求を呑んだそうだ」

「団長らしいですね」

エミは微笑むと頭をクシャクシャと撫でられた。

「そういえば荷物の整理をしなければいけませんね」

「それなら大丈夫だろ。
ハンジの事だ。
モブリットに全部させているだろうな」

「モブリットさん…大変ですね…」

「ハンジの直属の部下になったら誰でも大変だ」

その言葉を聞いて笑うとエミは「少し見てきます」と言って部屋を出た。

隣室の部屋を覗くとリヴァイの言った通り、憲兵に行く前の通りに片付けされていた。

テーブルの上を見ると鍵が置いてあったのでそれを持ってリヴァイの私室に戻った。

「凄いですね。
ここを出る前と全く変わらずの状態に戻っていました」

「元々荷物が少なかったからな」

エミはリヴァイの隣に座るといきなり唇にキスをされた。

突然のキスに対しては大分慣れてきたが、やっぱり恥ずかしい。

頬を赤く染めながらリヴァイを見ると微笑んでいた。

「やっと結婚出来たな」

「やっと…という程長かったですか?」

「俺は待つのが嫌いだ」

「そうでしたね」

そう言って今度はエミからキスをすると、驚いたのかリヴァイの目が見開かれていた。

その顔を見て思わず笑うとリヴァイも笑った。

こんな光景は誰も見れないだろう。

エミは他の兵士の前でも笑顔を見せ、人を引き寄せる。

リヴァイは粗暴で近寄り難いが、強さで人を引き寄せる。

リヴァイと関わる事が少ない兵士は笑顔は見た事が無い筈だ。

それも彼の性格のせいでもあるが、1度リヴァイの笑顔を見たら離れられなくなる。

エミ自身、今がそれだった。

「兵長」

「俺らは夫婦だ。
2人で居る時ぐらいは名前で呼べ」

「リヴァイ…さん?」

「何故『さん』を付ける」

「リヴァイ…
何か恥ずかしいです!!」

顔を赤くして言うエミの姿がリヴァイは今まで以上に好きだった。

「いつかは慣れるだろ」

「いつになるんですか…」

「さぁな」

意地悪く言うリヴァイの肩にエミは頭を乗せた。

「明日からまた大変だな」

「そうですね。
でもここに居れる事が私にとっては凄く嬉しいです」
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