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第2章 真実


リヴァイの部屋から出たエミの心はスッキリしていた。

今まで心の中にあった黒いモヤモヤとした物が無くなっている事に気付く。

父の死の真実を聞けたからであろう。

「...何かお腹が空いたな」

もうすぐ夕食の時間だ。

食堂に行くとエミの姿を見た仲間達が一斉にエミに駆け寄り色々な言葉を投げかける。

「エミ、大丈夫!?」

「まだ寝てないとダメなんじゃないのか!?」

「怪我の具合はどうなの!?」

矢継ぎ早に同時に聞かれて困っていると食堂に現れたリヴァイを見て全員が固まった。

「お前ら、困っているだろうが」

眉間に皺を寄せた状態で低く言われ皆席に戻る。

エミは空いている席に座るとリヴァイがちょうど空いていた隣に座った。

「大丈夫か?」

「はい。先程は有難うございました」

そう言うと同時にエルヴィンが食堂に入ってきた。

エミを見つけると優しい笑顔を見せ口を開いた。

「皆に報告がある。
エミを兵士長補佐にする事となった」

そう言っても誰一人何も言わない事から皆が納得している事が分かる。

「もし異論があるようなら食事の後私の部屋へ来てくれ」

そしてエルヴィンは席に着いた。

エルヴィンが座った席はエミの目の前だった。

食事を始めるとエルヴィンはリヴァイを見据え、小さく聞いた。

「あの事は話したのか?」

「あぁ」

その短いやり取りでお互いの考えている事が分かるのを凄いと思った。

リヴァイが絶対的信頼を置いているぐらいだ。

そうで無ければ調査兵団は成り立たない。

「そう言えば、エミの部屋を移さないといけないね」

「へっ...?」

食事の途中で手が止まり、エルヴィンを見ると優しく微笑んでいる。

「君も幹部になるんだ。
今の部屋では幹部としての仕事は出来ないだろう」

確かに...とエミは納得した。

幹部になるという事は機密情報を扱う事になる。

今の部屋ではドアには鍵が無いので幹部用の鍵がついたドアがある部屋のほうが良い。

「今空いている部屋と言ったら...」

「俺の隣が空いている」

確かにリヴァイの部屋は幹部棟の最奥にあり、その手前は空き部屋だ。

「ではその部屋にしよう」

エルヴィンはニッコリと笑い、また食事に戻った。
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