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第13章 帰還


「馬車で待ってて下さったら良かったのに」

エミがそう言うとリヴァイにデコピンをされた。

「馬鹿か。
ここはまだ中央の敷地だろ。
警護だ」

「何かストーカーみたいに感じるんですが…」

「じゃあこれからはお前の横に張り付いてやろうか?」

ニヤニヤしながら言うリヴァイが怖い。

「遠慮しておきます」

わざと嫌そうな顔をするとリヴァイは少し微笑んだ。

馬車に着くや否やエミは驚いた。

「出発すると聞いて見送りにきた」

そう言ったのは王だった。

「調査兵団の兵服を着ると表情が豊かになるのぉ」

微笑みながら言う王に対して敬礼をした。

「私なんかの為にお見送りまでして頂いて有難うございます」

「気にする事は無い。
リヴァイよ」

王はリヴァイを見て優しい声で言った。

「エミの事を頼む。
わしの願いは姪が幸せになる事じゃ。
これはわしからの命令として捉えて欲しい」

「分かった」

それだけ言ってリヴァイは馬車に乗り込む。

「エミ、この先わしと会う事は殆ど無くなるじゃろう。
じゃが、わしはお主と過ごした時間を忘れぬ。
幸せになってくれ」

「はい」

エミは満面の笑みを見せ敬礼をし、馬車へと乗り込んだ。

程なくして馬車が出発した。

後ろを向くと王はすでに居なくなっていた。

「予想以上に早く帰れますね」

微笑みながら言うとリヴァイはエミの肩を抱き寄せた。

「全部エルヴィンのおかげだ。
まぁ、そのおかげで大変な目にあったがな」

「大変な目?」

「あいつの仕事の手伝いをさせられた」

眉間に皺を寄せて嫌味が篭った声で言ってきたのでまた笑ってしまう。

「何かおかしかったか?」

「いえ。
やっぱり私は兵長のお傍が1番安心出来ます」

そう言ってリヴァイの肩に頭を乗せると優しく頭を撫でられた。

「そういえば謁見中に俺が現れて驚いたか?」

「少しだけですね。
欲を言えばもっとロマンチックな再会が良かったです」

「俺にそれを求めるのか?」

「はい」

そう答えると表情こそは見えないが微笑んでいるのが分かった。

「それなら兵舎に戻ったら驚かしてやる」

エミが頭を上げてリヴァイの顔を見ると優しくキスをされた。

「おかえり、エミ」

「ただいま、兵長」
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