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第12章 策略(ヒロインside)


昼になり緊張が走った。

もうすぐエルヴィンが現れると思うと落ち着かない。

「そんなに緊張しなくても良い」

「はい」

そう言っているとドアが開かれた。

「失礼致します。
調査兵団団長エルヴィン・スミスが到着しました」

「入れ」

王が答えるとエミは銃を持つ。

「失礼致します」

敬礼するエルヴィンの横に予想通りミケが立っていた。

近付いて来るエルヴィンとミケの姿を見て懐かしく嬉しい気持ちが込み上げてきたが表情には出さなかった。

「調査兵団団長エルヴィン・スミスです。
こちらは調査兵団第一分隊長ミケ・ザカリアスです」

敬礼をしながら話すエルヴィンに王は「楽にしろ」と言ったので、2人は腕を下した。

「で、今日ここへ来た目的は何じゃ」

エルヴィンはチラッとエミを見ると直ぐに王へと視線を戻し話し始めた。

「率直に言わせて頂きます。
エミ・ユベラを我々調査兵団への移籍をお願い致します」

「ほう。
そう言われて簡単に許可するとでも思ったのか?」

「いえ、そうは思っていません」

張り詰めた空気が流れる。

「どうしても無理であると仰るのであれば私にも考えがあります」

「ほう…言ってみろ」

「失礼ではございますが、貴方は本当の王ではありません」

それを聞いたエミは驚いてエルヴィンを見るが、王は表情を変えなかった。

「何故そう思う」

「失礼ながら調べさせて頂きました。
代々ユベラ家の宗家は王を継承しています。
しかし、貴方は宗家では無く分家です」

「その様な極秘事項を良く調べ上げたな」

「色々な手を使わせて頂きました。
実質、今現在本当に王であるべき人物は、貴方の傍に居るエミです。
彼女が本来の宗家です」

エルヴィンは何を言ってる…

自分が宗家なんてあり得ない。

実際に父からもそんな事は聞いた事は無かった。

「お主の言う通り宗家はエミのほうじゃ。
しかし、今更元に戻せと言うのか?
ユベラ、構えろ」

王は無表情で命令するとエミはエルヴィンに向かって銃を構えた。

「いえ、その必要はありません。
これは極秘事項ですので民衆に洩れる事だけは避けなければなりません。
なので王にはそのまま王のままで居て頂きます」
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