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第12章 策略(ヒロインside)


「まずわしらユベラ家は元々は大きな家系でのぉ。
簡単に言うと宗家と分家があった。
今となってはわしが最後の宗家、お主が最後の分家の人間になる」

王は髭を撫でながら思い出すように話す。

「そしてとある日、宗家は王の役目を果たすようになった。
これに関してはわしが生まれるずっと前の事じゃから詳しく知りたければ図書館に行けば良いじゃろう」

「どのぐらい前なのですか?」

「100年かそれ以上か…わしも曖昧にしか分からぬ」

「その体制が整い、宗家が王を継承してきた。
そして今はわしが王を継承しておるが、そのわしを憎む奴がおってのぉ。
それがお主の母親じゃ」

「母ですか…?」

エミは母親がいきなり登場した事に少し驚いた。

「お主は母親の事をどう聞いておる」

「父から私を産んで直ぐに他界したと聞いております」

「確かに、それが表向きの情報じゃ。
ここへ来た時にお主の事を調べたと言って読み上げた内容もその内容じゃっただろう」

「はい」

王はエミを見る事無く肘を組みながら机の上を眺めていた。

「じゃが死因は知らないであろう?」

その言葉にエミは気が付いた。

母親が死んだとは聞いていたが、確かに死因を知らない。

何故今まで気付かなかったのか…

「母親の死因は謀反じゃ」

「!!」

父と同く謀反を犯したという事は処刑…

だが母は兵士では無いと聞いていた。

「謀反と言っても色々な種類がある。
父親は反逆罪。
母親は…」

言うのを躊躇っているのか王は相変わらずこちらを見ずに机をずっと眺めている。

「わしに対する反逆罪じゃ」

「母も…反逆罪…
では母は私を産んだ為に死んだのでは無く、暫くは生きていた…ということですか?」

「そうじゃ。
お主が3歳の頃にはまだ生きておった」

エミの頭がゴチャゴチャになってきた。

元々考えるのは苦手なので今現在の話を理解するのに苦労した。

「そしてお主が3歳の時にわしの事を知った。
きっと父親には内緒にしていたのじゃろう。
母親は1人でわしの所へ来た。
その時はそのまま家で帰したのじゃが…
その後、憲兵が『謀反を犯した』と言ってきたので、わしは処刑を命じた」

「どの様な謀反ですか…」

「刃物を持ってわしを殺そうとここまで来たらしい」
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