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第12章 策略(ヒロインside)


エミの表情を横目で見た王は微笑みながら言った。

「初めてわしの前で笑ったのぉ」

それを聞いたエミは少し驚いて、そしていつもの無表情に戻った。

「無理に笑えとは言わない。
じゃが初めて会った時からお主はわしの前で笑う事は無かった。
ここに来るのが嫌なのは分かっておったが、わしとお主は唯一の親戚じゃ。
2人で居る時ぐらい自分の感情を出しても良いのではないか?」

そう答える王を見る事無くエミは俯いた。

王の言っている事は分かる。

しかし素直に自分の感情を王の前で出す事が出来なかった。

この兵服を着ている限り…

「王の仰る事は理解出来ます。
しかし…どうしてもこの兵服を身に付けていると笑えなくなるのです」

「あの時のせいか?」

「あの時…?」

何の事を言っているのか分からず思わず聞き返した。

「やはり覚えておらぬか。
お主がまだ3歳ぐらいの時じゃったから無理も無いかもしれぬ」

「どういう事でしょうか?」

「ここでは話せぬ。
部屋に戻るとしよう」

そう言って部屋へと向かう王の後ろを歩きながらエミは必死に思い出そうとしていた。

しかし3歳の頃の記憶が無い。

むしろ幼い頃の記憶が殆ど無かった。

3歳ともなれば少しぐらいは覚えていても良い筈だが、何故無いのか。

きっとその答えを今から王が話すのだろう。

部屋に着くと王はいつもの豪華な椅子に座り、エミは向かいあう様に椅子に腰をかけた。

「お主は立派は大人であり兵士じゃ。
もう話しても良いじゃろうから話すが、下手すればお主を傷つけるかもしれぬ。
覚悟は出来ておるか?」

真剣な眼差しで見つめてくる王と同様に真剣な目で見つめ返しながら答えた。

「私自信の事は自分でも把握しておくべきだと思っています。
どんな事であろうと私は知りたいです」

それを聞いて王は納得した様に頷いた。

「良かろう。
まず、わしとお主の家系についてから話さねばならぬが細かい事まで話すと長くなる。
簡単にだけ説明しよう。
もし詳しく知りたいのであれば図書館に行って資料を見れば分かる。
いつでも出入り出来るように許可を出しておく」

「有難うございます」

そう言いながらもエミは少し怖かった。

家系にまで関係しているとは思っていなかった…
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