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ハイキュー 〜約束を果たすまで〜

第5章 単細胞生物


鈍い音が、体育館に響く。
「来たか。じゃ、軽くアップ取ってくれ。」
「あ、それは大丈夫です。」
「そっか。じゃサーブ打ってみるか。」
ほれほれと澤村からボールを渡され、体育館の隅へと立たさせた。
隣に立つ坊主頭の田中は、依流の身体が小さく華奢なことが気になるようであった。
「お前、背がちっちぇーなぁっ!日向よりちっちぇんじゃねぇかぁ??」
「かもしれないっす。」
「だよなぁ、腕も細っこいしなっ。どれ、一本いったれやっ!」
ー詠流のサーブはみたことない……。でも、さっきの子のサーブを真似すればいいのかな。ー
白いライン上に、つま先を合わせる。
繰り返し思い出すは、あの力強い踏切に高いジャンプ。
依流の細い足が、床を蹴り舞う。
力強いとは言いがたいが、動きがしなやかであり艶やか。
その姿は、まるでー。
「黒鳳蝶(くろあげはちょう)みたいだ。」
菅原は、目を丸くして思わず呟いた。
手に当たったボールは、ネットにたどり着く前に音を立て落ちた。
「あ…。」
「詠流、フォームは綺麗だったな。うん、あとは筋トレだな。」
「は、はい…。」
「ガァハッハッ!では、先輩がお手本を見せてやろうっ。」
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