第7章 コート上の王様
月島は、自慢の長い足をフルに使いずんずん前へと進んでいく。
やっとの思い出追いついた山口は、月島の異変に気付いていた。
「イライラすんだよ、無駄にあつい奴って。”王様”もさっきの”チビ”も。」
それぞれの思いが錯綜し、翌土曜3対3当日を迎えた。
そこに現れた、黒髪で目元に泣き黒子のあるセクシーな女性。
「び、美女だぁっ、美女がいるっ。なぁなぁ、あのひとマネージャーかなぁ⁉︎」
そわそわする翔陽とは反対に、飛雄の様子はどこか固かった。
「よーし、じゃぁ始めるぞ!」
澤村の号令とともに、それぞれの場所へと進んでいく。
「詠流、こっちだよ。」
昨日のあの態度が、気になって仕方がない。
依流は、重い足を動かしていく。
「小さいのと田中さん、どっちを先に潰…。抑えようか。あ、そうそう。王様が、負けるとこも見たいですよねぇ。とくにら家来達に見放されて一人ぼっちになっちゃった王様が見ものですよね。」
今日も、月島の口は止まることなく挑発を繰り返す。
「や、やめろよっ。勝負は、バレーでつけんだろ。」
依流は肩を掴み制するも、離せとばかり払われてしまった。
「月島クンてばもう、ホントすり潰す‼︎‼︎」
挑発に乗る田中の言葉に、にやりと笑みを浮かべた月島。
一触即発の中、3対3の試合開始の合図が鳴り響く。