第3章 桜咲く前に決める覚悟*
「ぅぅ…。」
依流は、狭いアパートの部屋へと帰り涙を流していた。
「私は、優しくしてもらう資格なんてないのにっ。軽蔑されて当然なのにっ‼︎」
ー殺さなければ、じぶんを。
出来る、出来る。
これが唯一の能力だから。ー
学ランに袖を通し、髪は短めの綺麗なウィックを被る。
「うん、大丈夫。」
鏡をみて、微笑み依流はまるで別人。
「運動は苦手だけど、演技なら誰にも負けない。」
それでも、隠せないものはある。
首筋に咲いた桃色の花は、消えずにちらつく。
脳裏にちらつく、軽蔑したような瞳。
なぜか、その瞳に安心感をいだいた。