第3章 桜咲く前に決める覚悟*
「バレーは、楽しい。依流もやってみろよ。」
いつも口癖の様に、詠流が言っていたこと。
大丈夫、きっとやれるよ自己暗示をかけ扉を開けた。
『烏野高校排球部』、一体どんな人がいるのだろうか。
「その前に、入学式だな。」
学校までは、徒歩で15分ほど。
まだ寒い日が続くなか、真新しい制服に身を包んだ新入生の姿は眩しく見えた。
広がっている青い空が、未熟な者たちを校舎へと導く。
依流は、クラスの中に入り動揺を隠せなかった。
忘れもしない、雀斑と金髪の少年も同じクラスであった。
なるべく関わりたくない、そんな依流の思いとは裏腹に雀斑の少年。
山口は、依流に声をかけた。
「あの、君ってどこかであったことあった?」
「いや。名前はー。えと、山口忠君?」
「あ、うん。えっと、神川詠流??」
「あぁ、よろしくな。」
「ねぇ、その首のやつどうしたわけ?」
山口の後ろから現れたの、ツッキーと呼ばれていた人。
依流は、思わずドキッとした。
ーばれた…⁇ー
「月島…⁇なんて読むんだ?」
「蛍…。これくらい読めないわけ?で、質問に答えてくれる。」
「…。ぶつけて軽い怪我、しただけだ。そんなに気になる?」
「…、ふーん、別に。」
月島は、疑い深い目を向けている。
思わず溜息をつく。
このクラスで、依流の高校生活が始まった。