第1章 せめてこの日だけは(椎名翼)
何か椎名が黙ったんだけど!!
そんなに嫌だったか!?
それともデザインがありきたりすぎたのか!?
「じゃあさ
名前は僕の隣にいてくれるよね?」
黙った原因を探るべく思考をフル回転させてたからか、あたしは椎名が至近距離にいた事どころか、抱きしめられた事にもしばらく気づかなかった。
「………は、え!?椎名、お前何やって!」
「名前、せめてこの日だけは、僕と一緒に過ごしてくれるよね?」
肩に顎が乗っかってるから、椎名の顔が見えない。
いや、見るべきじゃねーのかもしれない。
少し、椎名の体が震えていた。
「お前神様なんだろ?なら、誕生日くらいは祝福してくれてもいいじゃん。名前が向こうに帰ってもいいから。名前の写真くらい見てもいいじゃん。会えない間くらい、許してよ。名前がいないともうダメなんだよ。だから………せめてこの日だけは、僕の隣にいて?じゃないと、しつこいくらい心の中で叫び続けるから。『いい加減帰ってこいよバーカ!!』って」
帰ってこないとタダじゃおかないからな!と椎名は笑い泣きながら、あたしから体を離した。