第3章 疲労熱注意報(空閑遊真)
「まだキツイ?」
「ん、少し………」
誰かがいる安堵のせいか、更に瞼が重くなっていく。
だが、せっかく用意してもらった薬を飲まない訳にはいかないと思い、再び体を起こそうとしたら、空閑に止められてしまった。
「あ、名前さん。起きなくていいよ。そのまま薬飲ませるから」
頭の回転が正常ではなかったせいか、あたしはそのまま空閑の言う通りにし、ダルさで目を閉じてしまった。
だが少しして、唇に何かが触れたと思ったら、口の中に苦味と水分を感じた。
「………っ、くが?」
「ん?」
「いま、何した?」
「口移しで薬飲ませた」
「っ………」
何を言ってるんだ?
あたしの頭がまだ正常じゃないのか?
そう思ってると、まさかの第二波がやってきた。
「はぁっ………くが、こういうのはっ、ふつうやっちゃいけねーぞ………っ」
「何で?」
空閑の瞳があたしを捉える。
だが、あたしの脳はまだうまく働かなくて、朧気だった。
「………見られたら、勘違いされるだろ?……それに、本当に大切な奴以外にやるべきではない……」
「いいよ」
「………?」
「別に勘違いされてもいいよ」
あぁそうか、あたしは今風邪引いてんだよな。
熱の限界がきて、あたしはそのまま意識を失った。