第2章 事の始まり
「ヴァチカンにも報告していませんが、サタンの息子が目覚めたのです。藤本に任せていましたが、藤本は亡くなってしまったので私が面倒を見ることにしました」
「……それってヴァチカンの命令違反だろ。大丈夫なのか?」
「策は考えてあります、しゆうが心配しなくて大丈夫です」
「……それで?」
しゆうは深く息を吐いてから、テレビ画面の方に顔を向ける。
「監視役は多い方が良い。しゆうにもそのサタンの息子の監視をしてもらいたいのです」
「それは、まぁ妥当な判断だろうな。そのサタンの息子っていうのは?」
「アナタも知ってるでしょう? 最年少エクソシストの彼」
「奥村雪男か? え、あいつなの?」
いつのまにかベリアルが持ってきた朝食のサンドイッチをつまみながら、しゆうは問う。
「彼も可能性はありますが、私が言っているのは彼の双子の兄、奥村燐です」
テレビ画面はクリアの文字が踊っている。いつのまにかクリアしたらしい。メフィストはテレビを消して、しゆうの方を見る。
「彼は今、この学園に通い祓魔塾でエクソシストになるべく勉強中です。しゆうはこれから祓魔塾に入塾した生徒として一緒に学びながら、傍で監視して欲しいのです。すでに奥村雪男くんが講師として彼を監視していますが、彼らは兄弟ですからね。もしもの時もありますから、その時はアナタがその『チカラ』で抑えて欲しい」
「……なるほどね。……塾生が納得できるような理由とか、ちゃんと考えとけよ」
「しゆうが引きうけてくれて嬉しいです♪ では諸々の手筈は整えておきますので、今日から早速入塾しましょう。それまでゆっくり休んでください」