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目の前の憂鬱

第2章 事の始まり


カーテンから差し込む光で、しゆうは目覚めた。いつの間に自室に戻っていたのか分からなかったが隣にメフィストが寝ているのを見て、把握した。しゆうはメフィストの鼻をおもむろにぎゅ、と掴む。
「痛い! 何するんですか!」
「寝たふりしてる方悪い」
痛さに飛び起きたメフィストに、悪びれもせず、しゆうは答えた。
「今日、学校だろ。もう行かなきゃ」
「ああ、その事ですが……」
ベッドから降りようと、右足を床につけたしゆうの左手を引っ張りベッドに倒す。そのままメフィストは企み顔でしゆうの耳元に何かを告げた。しゆうの顔がみるみる驚愕の表情を浮かべ、そして大きな声で叫んだ。
「はぁぁぁぁ?! なんだそれ!!! お前職権乱用しすぎだろ!! ただでさえ、任務で出席日数ヤバいのにこれ以上休んで留年とかシャレになんないだろ!」
「大丈夫ですよ、しゆう♪ しゆうの出席日数はきちんと考慮してあります☆ 成績は良いので、ちゃんと課題をやっていれば留年にはならないと学年の先生も仰ってましたし、それに……」
メフィストはしゆうの薄い唇を人差し指でゆっくりとなぞる。
「アナタ、大学に行かないでそのまま祓魔師として任務に専念するんでしょう? でしたら、卒業できれば良いんですから出席日数とかそこまで気にしなくて良いんですよ?」
しゆうはその手を払いのけて、眉間にシワを寄せる。
「そういう問題じゃない。学生の本分は勉強だろ」
「では、アナタが学園を離れていた間に起きた出来事について何点かお教えしなければならないので、そのお話をしましょう。あと、これはもう少ししてからお話しようと思っていたのですが、次の任務のことも」
どうしても今日は休ませたいらしいメフィストに、しゆうは声を荒げる。
「次の任務って! 早すぎだろ!」
「学園内での任務ですから、そこまで難しくありませんよ。……まぁ、ある意味どの任務よりも難しいかもしれませんが」
ふふふ、と笑うメフィストに怪訝な表情を浮かべたしゆうはメフィストの下から這い出る。
「で、その任務っていうのは?」
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