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目の前の憂鬱

第2章 事の始まり


「しゆう、眠いんですか」
メフィストが珍しくデスクの椅子ではなく、客人用のソファに座っている。メフィストの肩より少し下に、濃いキャラメル色の髪の毛がある。かくん、かくん、と頭が揺れていて、眠いのが見て取れる。しゆう、と呼ばれたその頭の人はむずがるように頭をメフィストに押し付ける。
「お前が……任務押し付けるからだろ……」
「それはそれは……失礼しました」
メフィストは笑いながら、紅茶に手をつける。メフィストの紅茶はお洒落なティーカップにいれられていたが、しゆうの前に置いてあるのはココアの入ったマグカップだ。半分ほどなくなってはいたが、任務のせいなのかかなり疲れているようで先ほどから本当に眠そうだ。
「……今日は一緒に眠りましょうね。今回は長い間頑張ったご褒美です」
「うん……」
しゆうはそのまま寝入ってしまう。睡魔の限界に来てしまったようだ。メフィストは紅茶を置き、しゆうを抱きかかえる。側仕えのものに片付けを命じて寝室に向かう。すやすやと深い眠りについているしゆうの寝顔を見ながらメフィストは口元を緩める。
「全く、ワカムラサキ計画は素晴らしい。アナタが4歳の時に引き取ってから、今まで面倒をみてきましたがこんなにワタシ好みに育ってくれるとは正直思いもよりませんでしたよ」
しゆうの頭が自分の肩にあたるように抱え直し、軽やかな足取りで寝室の扉を開ける。しゆうに与えた部屋だったが、半ばメフィストの私室と化している。部屋のベッドサイズはクイーンベッドで、始めから2人で寝る用になっている。幼い時からの名残だが、それに関してしゆうが文句を言うことはなかった。起こさないようにゆっくりとベッドに横たえると、メフィストは軽く指を鳴らす。一瞬でしゆうとメフィストの服が夜着へと変わる。可愛らしいぬいぐるみがたくさん置いてあるベッドに入り込み、メフィストはしゆうの顔を優しくなでてから、頬に軽くキスを落とす。
「お休みなさい、可愛いしゆう。今日はゆっくり休んで、楽しい事はまた今度にしましょう」
そして、メフィストを珍しく早く休んだ。
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