第1章 お留守番(ヒイロ)
言ってみると、改めて自分がこんな思いを隠してたのかと再確認させられた。
ヒイロは、驚いた様子もなく、相変わらずあたしを凝視している。
「それは………」
「それは、名前が優しいからだ。自分の感情よりも他人を優先させようとするから、結果そのような考えに至る」
「そ、そうか?」
「それに、その心配は無意味だ」
無意味とは、どういう事だろうか。
そう思っていると、何故かヒイロはあたしに手を伸ばして、そのまま手を引いてきた。
「俺とゼロが、名前を導いてやる。どんなに離れようと、俺とゼロが見つけるし、手を引いてやる」
何だ、ヒイロの方が優しいじゃねーか。
でも、少しだけでも、みんなと一緒にいてもいいのかなぁ?
「サンキュー、ヒイロ」
「あぁ」
今は、とりあえずみんなといる時間を大切にしていこう。
ヒイロのおかげで、そう思えたあたしだった。
→おまけ(2つあります)