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贈りものを君に

第4章 傷付いた過去から



その後、は祖母に引き取られるまで承太郎の家で暮らした。暮らしたと言っても半年間だけだったが承太郎の母親ホリィから沢山の愛情を受け取っていた。
最初は戸惑いつつも少しずつ会話をするようになり、笑顔も見せていたという。

「ちゃん、元気でね」

「はい」

小4の春、は祖母の家に引き取られた。ホリィはこのまま家にいてもいいと言ったのだが、の祖母は迷惑ですからと言って引き取って行った。
承太郎はその時、嫌な感じがしたのだという。自分の祖母だから安心していいと思っていたが、引き取られていくの顔はあまりにも寂しげだったのだ。

後日、引っ越しの手続きが済んだのかが登校してきた。幸い学区内からは外れておらず、同じ学校に通う事にはなったのだが、明らかに様子がまたおかしかったのだ。
怪我をしているような様子はなかったが、あまり元気そうには見えなかった。

「なあ、おばあちゃんとうまくいってるか?」

承太郎は気になり、何回かそんな質問を繰り返した。だが、は何も言わずに無視を突き通した。

「、」

「やめて」

そう言ったの目には大粒の涙が溢れていたのだった。
承太郎は言い表せないほどの不安感を抱いた。まさかまた暴力を振るわれているのではないかと。だがそんな事はないとは首を横に振る。担任教師に伝えると、すぐに家庭訪問が行われた。これで一安心かと思ったが、はまた承太郎に文句を言った。

「なんで、じゃまするの」

何が邪魔だったのか承太郎にはわからず、混乱してしまった。
幼い頃からの友達だったを救おうとして行ったことだったのに、それが何故かにとってとても迷惑なことになっているのだ。小学生の承太郎には訳が分からず、ただただ悩むだけだったのだ。

「もうやめて、やめてよ」

そう初めて泣き崩れてからは承太郎と口を利かなくなってしまったのだという。




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