第8章 飛び立つ翼の美しさ
無事にアメリカへつくと直ぐにSPW財団が用意した車に乗せられ施設の中へと案内された。
「…ここ、家になるってこと?」
「多分ね」
予想以上の施設の整い具合に圧倒した三人は与えられた部屋に入る前に警戒してしまった。物凄いところに来てしまったと。
その中でも承太郎はまだなんとかこの状況を飲み込んだらしく大人しく部屋へと入って行った。
「ああ、そういえば」
言い忘れていたよ、と花京院は言う。
「好きだ」
手に持っていた荷物を落とし、なにが起こったか理解ができないかのようにぽかんと口を開けたは実に滑稽だった。花京院はその様子を見て笑っていた。
「そんなに驚く事かい?」
は頷き、落としてしまった荷物を拾い上げた。
「僕はただ自分の気持ちを伝えたかっただけさ、付き合おうとかそんな事は考えていない。でも良ければ交際をしたいと考えてはいるよ」
そういって花京院も部屋の中へと入って行ってしまった。ひとり取り残されたはどうにか荷物を部屋の中へ突っ込んで窓の近くまで這うようにしていった。
まさか、あんなことを言われるなどとはと驚き、心臓が物凄いはやさで動いているのがよく分かる。
「…す、好き…?」
その感情がイマイチよくわからなかったので、取り敢えず今日は休もうと用意してあったベッドへ寝転がった。
「…好き、花京院が…?」
その言葉を繰り返しているうちにどんどん顔が熱くなっていき何も考えるなと自分に言い聞かせても無駄なまでに追い込まれてしまった。
これはこれで辛いいじめのようなものなんじゃあないのかと、幸せそうに微笑みながら枕に顔をうずめた。
END