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贈りものを君に

第4章 傷付いた過去から




承太郎が気が付いたとき、小学三年生の時からは既にの様子はおかしかった。

「!」

承太郎が声をかけるも無視をしているというか、声が届いていないのではないかというくらい清々しいものだった。

「なあ、どうしたんだよ」

肩に手を置いて声をかけると、思い切り振りはらわれた。

「さわらないで!!」

その時、大きなショックが承太郎にのしかかった。それと同時に襟元から見えた青痣に目が良く。幼い承太郎にそれが何だか理解するには時間がかかったが、どうやらは両親に虐待を受けているのだとわかった。

翌日、そのまた翌日になっても不自然な態度は変わらず承太郎はどんどん不安になり、その虐待現場を目撃してやればを助けることができるのではないかとの帰宅に後をつけることにした。
やはり予想は的中した。
が家に入ってから数分後、室内から何かが崩れるような物凄い音が聞こえ、承太郎は直にの家に飛び込んだ。玄関に鍵がかかっていたので窓側にまわり、石を投げつけて窓ガラスを割って中に侵入した。するとは泣くわけでもなく、ただ親にされるがままの状態だった。室内は酷く散らかっていて、の服ははだけ、そこから大きな痣と傷が見えたのだ。

「だ、大丈夫か?!」

放心状態の親を無視し、倒れ込んでいるを抱き起すと承太郎の事を睨んでいた。その目つきは今でも忘れられないと承太郎は言う。

「じゃま、しないで」

そう言って承太郎を跳ね除けた。
助けたつもりだったのにそう言われるとは思わなくて、承太郎はなにが起こったのかが分からずに立ち上がった。の両親は泣き崩れ、何故泣いているかなど承太郎にとってどうでもよかった。直ぐに警察に連絡をした。
連絡している間もはずっと承太郎を睨み付けていたのだという。




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