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贈りものを君に

第3章 差し伸べられる手



時は流れ放課後、は散らかった私物をかたずけていた。
教室に残れと声をかけられ残ってみれば「愛想がない」との指摘だった。どうやら彼女らは花京院に対して不愛想だったことに腹を立てたようだ。何故そのことに対して腹を立てるのかは意味が解らないとは顔をしかめると思い切り殴られた。

「可愛くもない癖に偉ぶってんじゃないわよ」

その言葉が引き金かのように拳の雨が降りかかってきた。立ち上がれば横顔を叩かれるし、座ったままなら横っ腹をけられる始末だ。はされるがまま大人しくしていた。

「花京院君に媚び売るのも許さないし、折角の話しかけられた言葉を無視するのも許さないわ」

「……」

理不尽すぎるその文句には耳を傾けもしなかった。ああ、また絆創膏をもらわなきゃなと目を伏せる。
ガサガサっと音が立ち、視線を上げればの鞄の中から私物が床にぶちまけられていた。それを呑気に片付けるのが面倒くさいと思い眺めているとまた背中を蹴られる。
そのまま女子生徒は教室を出て行き、は一人取り残された。


「」

その声に聞き覚えがあった。振り向かなくともわかるとは片付ける手を止めなかった。

「…おい」

「なに」

その短い返事に現れた男子生徒…承太郎は納得がいかなかったのかしゃがんで片づけをしているの真横にしゃがみ、一緒になって片づけを行った。

「…何のつもりか知らねーが、何意地張ってんだ」

「…」

はこうして承太郎とだけは会話をする。会話と言っても言葉のキャッチボールは長く続かない。直ぐに打ち切られてしまう。
承太郎は呆れたようにため息をつくと、散らばった教科書たちをそろえてに渡す。すると目をそらす。これが彼女なりの有難うなのだ。



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