• テキストサイズ

贈りものを君に

第6章 拒絶もまた



翌日の朝には緊急で全校集会が開かれ、が階段から落ち病院へ搬送されたことが報告された。案の定生徒は戸惑ったような声を上げ、誰もが心配しているような雰囲気だった。
その中で、花京院は目を光らせていた。どこかに怪しい奴はいないかと。
承太郎はというとそんな集会に参加するかと花京院に一言告げ、またあの屋上で寝ている。

「捻挫や骨折などをし、今も病院で意識が戻らないということです」

それと、と校長は続ける。

「打撲痕が見つかりました、それも古いものや新しいものまで」

これがどういう事かと校長は話し続ける。遠まわしにいじめが発覚したと言っているのだろう。その時、花京院は見逃さなかった。表情をゆがめた女子生徒を。
そういえばあれは転校初日の登校の時にも見た女子生徒だと花京院はメモ用紙におおよそのクラスを記入した。その女子生徒が耳打ちしている人物にも見覚えがあり、その生徒もしっかりとマークしておく。


集会終了後、承太郎がいるであろう屋上へ向かうとやはり給水タンクに寄りかかって本を読んでいる承太郎が目に入った。

「承太郎、終わったよ」

「ああ」

本を閉じ、花京院に話を聞く。おおよその目星はついたと言われると承太郎は顔をしかめた。

「女に手を出すのか」

「嫌な言い方をしないでくれよ、僕はただ話を聞きたいんだ」

どうして彼女を虐げるのか、それが聞きたいのだと花京院は静かに言った。
実際高校に入ってからは能力を使ったという話は誰にも聞いたことがないので噂によるものなのだろうと2人は予測した。だが噂というものはどんどん変化して流れ続けるものである。あの有名な平清盛が熱病に苦しめられたという話も噂で話が大きくなり、茹蛸のような顔で苦しんだとか、水をかければお湯になってしまうほどの高熱だとか、そんな話にまで飛躍してしまう。
それと全く同じだった。の持つ力は人を苦しめるだとか、実は人間じゃあないとか、そんな話にまでなっているのだという。それはあまりにも酷すぎるだろう。


/ 27ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp