第4章 傷付いた過去から
数日後、彼女の被害現場にまた遭遇した花京院はスタンドを使わずに直ぐに女子生徒の間に割り込んだ。
「か、花京院くん!」
「よさないか」
花京院の言葉を聞いて女子生徒は急いで立ち去っていく。
はまたゆっくりと立ち上がってスカートに付いた砂埃をはたくと鞄を持ち上げ、その場を立ち去ろうとした。
「待ってくれ」
その言葉に反応したのか、は立ち止まった。だがこちらに顔を向けようとしない。
「少し話がしたいんだが」
今度は何も反応は見せなかった。だが歩き出そうとはせず、ただ花京院の言葉に耳を傾けていた。
「承太郎から全て話は聞いたよ、だからと言って君に同情しようとは思わない。ただ僕は君を助けたい、そう思っている」
するとは花京院の方へ振り返り、鋭い目つきでにらみつけ
「二度と私の前に現れないで」
それだけ言って立ち去ってしまった。
何かまずい事を言ってしまっただろうかと、花京院は考えるがいまいちよくわからなかった。もとより彼女を理解しようなどという事が無謀だったのかもしれないと考える。
だが、このままでははずっと一人でいることになってしまうと不安にも似た感情を覚えた。
「どうすれば、いいんだ…?」
スタンドが無効ならば直接手を出すしか方法がないが、暴力に身を任せてしまったらそれこそ『虐待をする親』と『制裁を食らわす花京院』とが判断が付かなくなり、全てを悪とみなしてしまうだろう、そう感じたのだ。
「…そうか」
一つの結論に行き着いた花京院は直にの後を追った。