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3つの恋のはなし

第3章 一目惚れの概念とは


「あら、気ぃ付いた?」
 目をさますと、目の前には女の笑顔が広がっていた。
 なんとか体を起こして、女の身体をマジマジと見る。優しい桃色の髪に、パッチリとした黒い瞳。白いタンクトップに、すらりと伸びる美しいひれ。ん?ひれ⁉︎
「め、冥界の人魚‼︎」
「冥界の人魚って失礼やねぇ。せっかく助けたったのに」
「嘘吐け!俺たちの船を襲ったじゃねぇか‼︎」
「襲ってへんよ。ウチは歌っとただけやもん」
「なら、なんで船が飛んだんだよ⁉︎お前がなんかしたんだろ!」
「ちゃうちゃう。吹っ飛んだ理由は、アレ」
 人魚が指差す先に、目を向ける。
 濃い霧の中に、水柱がいくつも上がっていた。
「ここの海底には、小さな活火山がいくつもあんのよ。火山が噴火することによって、水柱が上がんねんけど、この霧で航海士にはなかなか見えへん。だから気付かずに水柱に乗っかって、吹っ飛ぶんよ」
「そうだったのか……。でもお前、噂にされるほどここにいるんだろ⁉︎ってことは、この島に住んでんだろ!」
「はい、ハズレー。ウチがここに来たのは、1ヶ月前。君と一緒で、ここに漂流したんよ」
 ほかに質問は?聞いてくる人魚に、俺は首を振った。これ以上質問したって、意味がないからな。
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