第2章 雲一つなく晴
コンコン
「俺だ、入るぞ」
『…見舞いなんて別にいいのに…』
弱って入院していても彼女は相変わらずだった
「先輩の代わりだよ、これ先輩から」
カカシは預かった差し入れの袋を差し出す
『…わざわざありがと…』
受け取った袋からプリンを一つ取り出し食べ始めた晴は、もう一つ取ってそれをカカシに投げた
『ほら、これあんたの』
「っなんだよ…」
キャッチしたそれは本だった
『私はそうゆうの興味ないから』
本のタイトルは
イチャイチャなんちゃら…
「…エロ本?…官能小説…?」
『…それ、あの先輩の趣味…感動するらしいよ……まったく…自分の趣味を他人にまで押しつけないで欲しい』
「…いや、俺だっていらない」
『有り難くもらっときなよ、作者はあんたも知ってる人だから』
……作者?
地 来 也
………………………
三忍の一人、あの地来也様なのか!?
「っ!!」
『三忍なんて呼ばれてるけど、私はただのエロジジイだと思ってる…あとさ、』
それまでいつものように砕けていた彼女の口調が、急に真剣なものになった
『…あんたも白い牙の息子とか呼ばれてるみたいだけど、私に言わせればケツの青いガキだな…』
「なっ!『死んだと、思った?』
考えを見透かされて何もいえなくなるカカシに更に彼女は言う
『あんなへぼい奴らが何人いようが私がやられるわけないでしょ、仲間を信じないなんて最低』
最低、か…
そうだな…
「…悪かった…確かに俺は最低だ…これからはお前のこともっと信じるよ」
カカシの言葉を聞いたか彼女は
ふ、と微笑んで食べかけだったプリンに手を着ける
『ま、安心しなよ!あんたより強いんだから、先に死んだりしないよ』
「っ言っておくが、お前より俺の方が年上なんだぞ!もう少し敬ったらどうだ」
『ハァ?嫌に決まってんだろ!二つしか違わないし』
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