第1章 無垢
「彼女って…やっぱり、喰種?」
「まぁ、そうだね。
でも、なんだろうなぁ。
″彼″よりも香りが薄いな…んん?
違う香りもするようだ。」
彼、か…
そのかねき、というひとのことだろう
「あー、そうそう。
私、結構鼻利くみたい。
以前からそうなのかなーなんてさ…」
「君が喰種じゃないのなら、
おいしく頂くよ。」
ふふと変態顔でにやける。
人間だったら食べられる?
こいつに?うわー、
それならちがうやつに食われた方がまし。
「にしても、喰種かもと言われて平然としていられるなんて、
以前、もし喰種じゃなかったとしても、
喰種に関係するひと、だったのかもしれないなぁ…
ソソるっ!!」
「………変態言葉を無しに話せないの?」
まぁ、たしかにその通りだ。
喰種、という凶悪な言葉を聞いてもなにも思わなかった。
あー、そうか、ってぐらい。
「私は…変、なのかな?」
「ん?変態?」
こいつに聞いたのがバカだった。