第6章 卵が孵るとき
「私を食べたいんじゃない?」
「っ、驚いたな
...まぁはじめは考えていたさ
こんなにいい香りをさせた君だからね」
興味で拾ったまでさ、とまた変なポーズをとって
私の髪をすくう。
「でも、君自身にも興味を持ってしまった
無垢で綺麗で壊れそうな女性だ」
なんてキザなことを言うんだろ。
馬鹿だ。
「だから私を食べないの?」
「食べたいが食べたくないんだ
いろんな君をそばで見ていたい」
「...告白みたいね」
私の気持ちは言わせてくれないのに
あなたはそうやって私に気持ちをぶつけるのね。
「僕はいつでも君に伝えていたさ
さぁ、そろそろ行こうか」
ずるいひと。