誰よりも君で。heiji×kazuha恋物語【名探偵コナン】
第13章 救ってくれたモノ
「大丈夫なのかな…。あの男の人…」
蘭が心配そうな表情で呟いた。
「大丈夫やて。平次らがきっと犯人捕まえてくれるから。あたしらは早よ犯人が捕まるように願ごとこ」
「そうだね…」
蘭はまだ心配そうな表情を隠しきれない。
「しかし…どうしますか?いつ毛利さんらが帰ってくるか分からないし。僕たちでこのままパーティーを続けるのも不謹慎でしょうし…僕たちは引き上げますか」
優作は帰る支度をしながら言った。
「そうね。新ちゃんも絶対帰り遅くなりそうだし。じゃあね。蘭ちゃん、和葉ちゃん」
そう言って優作と有希子は探偵事務所を後にした。
蘭と和葉、2人だけの静まり返った事務所。
「あたしは新幹線で帰らなあかんから平次んこと待っとくわ」
「そうだね。良かったら今日、家泊まってってもいいよ。着替えなら私の貸してあげるし」
「良いん?ありがとう」
そんな会話をしていると事務所の窓がガクガクと揺れた。
「え?誰_?」
和葉が振り向くと全身黒服姿の男が窓から入ってきた。
「お前らさっきから楽しそうに喋って!!俺はな、そういう幸せそうな人間を見るのがいっちばんだいっ嫌いなんだよっ!」
そう言って男は右手に隠し持っていたナイフを和葉たちの前に突き出した。
「あ…あなた。まさかさっき来た男の人のお兄さんなんじゃ…」
「あぁ。そうさ。あいつの兄だよ。あいつも殺してやろうと思ったけど途中で逃げやがったから後追いかけたらまさかこんな所に辿り着くとはな。ま。ちょーど良かった。俺、腹立ってる。お前らまとめて殺す!」
男はナイフを自由自在に振りかざし和葉と蘭の方へ駆け寄った。
「ハッ!」
蘭が得意の回し蹴りで犯人を捕まえようとするが男も空手をやっていたのか、強く蘭の腕を掴み、足でひっくり返した。その衝撃で机の門に頭をぶつけ蘭は気を失ってしまった。
「蘭ちゃん!!!」
和葉は大きな声で叫ぶと男に立ち向かっていった。
ガコンッー
和葉が必死でたたかうが男はそれ以上に強く容赦ない。
「あんた、早よこんなことやめて弟さんとこ戻ったりぃな」
男のパンチを避けながら和葉は言った。