誰よりも君で。heiji×kazuha恋物語【名探偵コナン】
第12章 叶わなくても。
穏やかな夏空が広がる朝、平次と和葉はいつものように学校へ向かっていた。和葉がいつもとは違いうつむき暗い顔をしている。
「どうしたんや?和葉」
平次がそう問うと和葉がいきなり平次に飛びついてきた。
「あ…あたし昨日な…。お母さんに、専門学校行きたいねんってゆーたらめっきり断られてしもた…。せやからこのまんまエレベーターで大学行かなあかんくなったん…」
和葉は泣きながら言った。
「何でやっ?!和葉、あれほど張り切ってたやないか!そんな未来に希望を持ってる奴の心を踏みにじる母親は俺が許さへん!!」
専門学校に行くため、必死で勉強していた和葉の姿を平次は思い出すと簡単にその夢を捨て去った惠のがとても腹立たしく思えた。
「もう…しゃーないねん。お母さんの言うことやから…」
「しゃーないってお前。ここで諦めんのか?和葉、お前の進路なんやで?」
「もおええんよ。平次。あたし、大学行くわ」
和葉の悲しんでいる声が平次の胸に重く突き刺さった。
「ほんなら俺も大学行く」
「え?」
「和葉と同じ大学行けるんやったら俺は大学行く意味があるんや」
「え…。でも平次、探偵事務所開くんと違たん?」
「アホ。それは仮の話しや。でも今、俺の正確な進路が決まったで」
平次はそう言うと学校へ向かって走り出した。
「ちょっとー!まってなー。平次!」