誰よりも君で。heiji×kazuha恋物語【名探偵コナン】
第10章 2人の願い事
修学旅行二日目。この日は街中を歩きながら京都の名物や建築物を見回っていた。昔ながらの建物が並ぶ中でショーウインドウに飾られた着物がひときわ目立つ所に和葉は目が止まった。
「見てみて!このお店、着物着れるんやって!いこ!」
そう言って和葉は友達4人を連れ店の中に入った。中にはいると色とりどりの鮮やかな着物が大量に並べてある。
「うわぁ!メッチャ綺麗やねぇ!」
「本馬や~」
和葉らはめったに見ない着物をみて胸が高鳴った。すると後ろから店員が声をかけてきた。
「どの着物をレンタルなさいますか?」
「あ。えっとぉ~」
和葉はとても悩んだ。その間周りの友達はどんどん着物を決めていく。
「え!?皆もう選んだん?!…あたし迷ってしもてなかなか決まらへんねん~」
その時、和葉の頭の中にふとあのわらべうたが流れた。
“まるたけえびすにおしおいけ~よめさんろっかくたこにしき~”
「は!あん時の着物!」
(確かあれは紅くて馬車の画がかいてるやつやったな‥)
幼い頃、山王寺で着せてもらった着物と同じようなものをさがした。
「あ!これやこれっ!」
和葉が選んだのはあの時とそっくりの着物だった。着てみると山王寺でまりをついていた時のことを思い出した。店員さんにメイクと髪を整えてもらい完全にあの頃と同じ和葉になっていた。店をでる頃、和葉は店員に声をかけた。
「まりってありますか?」
in銀閣寺の近く、銀閣寺
「うまいっ!この抹茶アイス」
「ほんまやなぁ」
平次は友達と銀閣寺付近にあるアイスクリーム屋で京都の名物、抹茶ソフトを堪能していた。アイスを食べ終わり店を出ようとしたその時、遠くに見覚えのある着物を着た少女が歩いているのが見えた。よく見ると___和葉だ。
「和葉!!」
平次は着物を着た和葉に惹かれ和葉を追いかけた。和葉は友達たちと銀閣寺へ入っていく。平次は大きな声で和葉を叫んだ。
「和葉ぁぁ!」
「あ!平次」
平次の声に気付いた和葉はニコッと笑い平次の前でまりをつき始めた。
「?和葉‥?」
「まるたけえびすにおしおいけ~よめさんろっかくたこにしき~」
「…和葉ぁ。よーにおてる。俺の初恋の人に」
「そらそうや。本人なんやから。……あん時とおんなしやね」
「ほんまに」
2人の間にはあの頃と同じ春の香りの風が吹いていた。