誰よりも君で。heiji×kazuha恋物語【名探偵コナン】
第20章 新たな命 ー希望ー
「オトン、オカン、ちょっと椅子座って」
平次が言うがまま椅子に座った。そして吐息を吐くと平次は口を開いた。
「突然のことで申し訳ないねんけど今、和葉のお腹ん中に俺らの子供がいてるんや」
平次の言葉を聞いた瞬間、状況が飲み込めない様子で平蔵と静華は2人を見た。
「ほんま?」
生唾を飲んで静華は言った。
「ホンマやで。おばちゃん。あたしら、結婚してないのに子供作ったりなんかして申し訳ないと思てる。でも、あたし、平次の子産みたいねん!」
和葉は必死で訴えた。
「もうすぐ、大学も卒業やし和葉と子供支えていけるよう働こうと思てる」
「えぇ。働くってそない急に見つかるんか?」
静華は驚いた表情をしていた。
「俺もう子供やないし、ずっとオカンとオトンに迷惑かけるわけにはいかんからな。‥もちろん、和葉んとこのお母さんにはOKもらえるよう俺、頑張るから」
「……」
平蔵は何も言わず席をぬっと立った。
「お…オトン!」
「前にゆーたやろ。和葉ちゃんを幸せにするって。一度決めたことなんやからわしから言うことは何もない」
そう言って平蔵は奥の部屋へと入っていった。
「ありがとう。オトン…」
静華も平蔵につられて首を縦にふった。
「はよ仕事ついて働くんやで。和葉ちゃんも良いお母さんになれるよう頑張りーな」
「うん!ありがとう。おばちゃん」
「オカン。ありがとう」
平次と和葉は感謝の気持ちで一杯だった。
「ほな、行こか」
そう言って平次は席を立ち、身支度をし始めた。
「え?行くってどこに?」
「決まってるやないか。和葉のおばちゃんとこや。どうせ、子供のこともおばちゃんに言うてないんやろ?」
「うん…」
あまりにも図星で和葉は小さく頷いた。