誰よりも君で。heiji×kazuha恋物語【名探偵コナン】
第19章 最後の Feeling
しばらくして平次と話しをつけ終えたのか惠がリビングに戻ってきた。和葉は泣いていたのが惠にバレないよう涙を拭いてソファから立ち上がると惠に尋ねた。
「平次は……?」
「帰ったで。私がこれ以上、考えを変えんっていうこと伝えたら帰ったわ。あんたも大変やねぇ。せっかくの結婚を邪魔する人がいて」
その言葉を聞いて和葉は「用事を思いだした」と一言残すと家を飛び出し、平次の後を追いかけた。車の音や街の人々の声も耳に入ってこないぐらい夢中で走った。ようやく平次の後ろ姿を見つけ平次の手を引っ張った。
「平次ぃぃぃぃ!!」
「か…和葉!」
「平次、ごめん。あたし……お母さんの会社が潰れるかと思うと不安でたまらんくなって…。そんで息子さんと結婚した方がええんかなって…やけど、平次のこと諦められんかった……」
和葉は泣き出した。その姿を見て平次が後ろからそっと抱きしめた。
「もう、泣くなや。俺は和葉のことを誰よりも知ってる名探偵やで?おばあちゃん助けるためにお見合いしたのなんかお見通しや。やけど…俺は和葉を見捨てたりなんかせーへんで?」
「へっ……平次…」
「俺、おばちゃんが認めてくれはるまで頑張るから」
「ごめんな……」
「何で和葉が謝んねん。息子との婚約は大学卒業してからやろ?それまでに俺が何とかするって。それにやっ!おばちゃんの会社、潰れへんで?」
「えっ?!何で?!」
さっきまで流れていた和葉の涙が急に止まった。
「あの新聞の報道はガセネタやったんや。やから、和葉があのええとこのボンボンと結婚しても何も変わりはないっちゅーことや」
「えええっ!?そうなん…」
「おう」
「な…何や。それ、早よ言うてーな。…あたし、取り返しのつかんことしてもたやん…」
「大丈夫や。仮に和葉が息子とのお見合いをしてんくても俺と和葉の結婚が許してもらえるっちゅーわけやないねんから」
「う…うん」
和葉はコクリと下を向いた。
「なぁ、平次。…今から、平次の家行ってもええ?あたし、忘れ物したねん」
「おうっ!もちろん来てもええで」
こうして2人は服部邸へ向かった。