第4章 迷夢
差し入れにはクッキーを持っていくことにした。
はちみつレモンとかがいいのかもしれないけど、作ったことがなくてわからないから。
宍戸先輩と鳳くんの分、二つに分ける。
袋を留めようとして気づく。
鳳くんの方が多くなってる。
きっと鳳くんの方が大きいからいっぱい食べそうってイメージからだよね。
大会当日、会場に来ると、すぐ氷帝のコートはわかった。
だって氷帝コールがすごいから。
ちょっと遅れてきたので、見るとダブルス2の試合の途中だった。
よかった、ギリギリだ。
クッキーも2つ鞄にしっかり入ってる。
鳳くんにあげたらきっとビックリするかな?
「向日先輩スタミナ切れかぁ…」
「相手のペアが追い上げてるな。」
どこからか聞こえてきた声。
え、氷帝がおされてるの??と思い慌てて目をやると、目の前で相手のペアにやられていた。
4-6で青学が一勝目をあげた。
いきなり負けるなんて。
つぎは、D1、宍戸・鳳ペア。
「おい、今年やばいんじゃねぇの。」
「まさか…」
不安になる応援に宍戸先輩が活を入れた。
やっぱりすごいな、宍戸先輩は。
「行くぞ、鳳。」
「はい。」
鳳くんがコートに入るまえ、少し観客席を見上げた。
気づいてくれるかな…
「あっ」
目があった、気がした。
「がんばって」
口パクで言った。
鳳くんは一瞬笑って、すぐ真剣な顔になった。
このD1も落とすと厳しくなる。
試合は鳳くんのサーブや宍戸先輩の攻めで順調にセットを取っていった。
でももうちょっとで勝てるというところで、急に相手のペースになってきた。
相手の変な位置取りのせいなのか、鳳くんのサーブが入らなくなったとき、何を言っているのか聞こえなかったけど、宍戸先輩が鳳くんに何か言った。
見ていて伝わってくる、信頼関係。
相手も必死だけど、こっちも必死なんだ。
いつのまにか、鳳くんを目で追ってる自分に気づいた。
サーブを打つ姿、スマッシュを打つ姿。
全部目に焼き付けたい。
やっぱり、
私、鳳くんが好きだ。
ゲームは6-3で氷帝がとった。