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first kiss

第4章  迷夢


あの日昼休みに小さな喧嘩をしてから、鳳くんは授業中に目を合わせようとしなくなった。
授業以外で話すことも減った。

私、嫌われたのかな。

『私は宍戸先輩が好きなんだし。』
なんて言ったから、もう仲良くするのはやめようって、思ったのかな。


とにかく、寂しかった。


久しぶりに放課後、窓からテニスコートを見た。

鳳くんと仲良くなって、宍戸先輩と知り合って、あまり窓からテニスコートを見ることはなくなっていた。
だって、遠くからじゃなくても会えたから。

でも、今鳳くんが遠くの存在に感じる。




もしかしたら私、 鳳くんが好きなのかもしれない。



ほとんど話さないまま金曜日になった。
この週末はついに大会だ。



『頑張って』って声をかけたいけど、かけられない。
応援しにいきたいけど、今のままじゃ迷惑になりそう。


寂しくて考え事をしたまま教室に入ろうとしたら、出てくるところだった鳳くんとぶつかりそうになった。

「ごめんなさい。」
「いや、俺の方こそ。」

またそれで会話は終わるんだと思ってそのまま教室に入ろうとしたら、鳳くんは私の腕を掴んだ。

「あのさ、大会、見に来てくれるんだよね?」
「うん。」

本当は行くか迷ってた。でも、それは鳳くんもきっと忘れてると思ってたから。

「俺、頑張るから。それと…」
と言って会場と日程の紙をくれた。

「ありがとう。」
久しぶりにちゃんと話したのが嬉しくて、きっとすごい笑顔になってる。

「最近、部活に集中したくて、俺、部活以外でもピリピリしてて、話せてなかったよね。」
鳳くんは困ったように笑った。
そういうことだったんだ。
さくらは少し安心した。

「そうだったんだ。てっきり嫌われたのかなーなんて思ってた。」
「そんなわけないよ。俺は雪田さんのこと、その、嫌いになるわけないよ。」
鳳くんは慌てて否定してくれた。

よかった。
鳳くんを好きなのかどうか決める必要はない。

前のように戻れればいい。
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