第4章 迷夢
昼休み、さくらはお昼を食べ終わって歯を磨き、教室に戻ったとき、入り口に男の子が立っているのに気づいた。
困ってるなら助けたいけど、うーん、知らない人だし、ちょっと怖いかも。
ごめんなさい!
と心のなかで言って横を通ろうとした。
「ちょっと、いいですか。」
「ひぃっ」
いきなり話しかけられ変な声が出た。
ちゃんと謝ったのに…(心のなかで)。
「鳳っていますか?」
「鳳くんですか?」
教室の中を見回すが、見当たらない。
「いないみたいです。」
見ればわかるような。とは言えないその男の子の目付きだった。
「鳳の席ってどこですか?」
敬語だけどこの威圧感なんだろう。
「えっと……ここです。」
さくらは案内した。
するとその男の子は机のなかをあさった。
え、ちょっと、何してるの?
さくらがあたふたしていると後ろから声がした。
「日吉!」
「おい、鳳、次数学だから宿題のプリント返してほしいんだけど。」
どうやら、この人が日吉くん??
「ごめんごめん。これ、ありがとう。」
鳳くんは慌てて机からプリントをだした。
「けっ」
日吉くんはプリントを受け取って教室から出ていく途中私の横を通るとき、一言「助かったぜ」と言っていった。
あれが噂の日吉くんかぁ。
去っていく背中を眺めた。
「雪田さんって日吉と知り合いだったっけ?」
鳳くんは突っ立ったままのさくらを不思議そうに見ていた。
「ううん、たまたま。」
「やっぱり雪田さんは優しいんだね。」
「え?」
「いや、なんでもないよ。」
鳳くんはちょっと照れるように言った。
そんな顔をされると、さくらも照れてしまった。
「ひ、日吉くんって、どんなひとなの?」
照れ隠しに日吉くんのことを聞いた。
「日吉のこと、気になるの?」
鳳くんはじっと見つめてくる。
「なんとなくだよ。」
「…今度紹介しようか?」
鳳くんは私がそんなに男好きだと思うの?
「別にそういうんじゃないよ。私は宍戸先輩が好きなんだし。」
なんだかイライラして勢いに任せて言ってしまった。
自分でも、気持ちがわからないのに。