第3章 逆夢
昼休み。
自分のクラスの授業が終わると俺は長太郎のクラスに向かった。
朝練のときから具合が悪そうだった長太郎の様子を見るためだ。
朝練の時に具合悪いのか聞いたときには、『大丈夫です。』って笑顔で言ってたけど、汗の量がいつもより明らかに多かったし、握力が入らないのかラケットを落とすこともあった。
教室の入口に立ち中を探すと、長太郎は椅子に座って肘をついて頭を支えていた。
それだけで精一杯って感じだった。
その横に雪田がしゃがんで、長太郎に話しかけていた。
やっぱり、具合悪いんじゃねえか、あいつ。
俺は席に歩いていった。
「やっぱり体調悪いのか?」
「宍戸さん。」
長太郎は俺の声に驚いて顔をあげた。
「おい、長太郎、顔色悪いぞ。」
「保健室に行った方がいいですよね!?」
雪田が同意を求めた。
そうか、雪田も説得してたのか。
「あたりまえだろ、早く保健室行くぞ。」
俺は口調が強くなった。
「でも、そうしたら部活に行かせてもらえなくなります。」
まったく、こいつは何の心配してるんだか。
長太郎らしいけど。
「今日部活に出れなくても無理して大会に出られなくなるよりいいだろ。」
さっきより口調は優しくなった。
長太郎はしばらく黙っていたが、納得したようだ。
「大事な時なのに…すみません。」
小さく頭を下げた。
「大会までには治せよ、俺たちはダブルスなんだからな!」
俺がそう言うと、長太郎は弱々しく笑った。
「はい。」
長太郎は立ち上がるが、フラフラだった。
まったく、こんなんじゃどっちみち部活なんて無理だろ。
「大丈夫?」
慌てて雪田が支えた。
二人で付き添って保健室に向かった。
まったく真面目なんだかバカなんだか、長太郎は。