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first kiss

第3章 逆夢


「これ、雪田のだろ。」
宍戸先輩は私の水筒を差し出した。

「あっ!すみません。わざわざ!」
さくらはペコペコ謝った。

「そんなにペコペコするなよ。俺が怖い先輩みてぇじゃねぇか。」
宍戸はさくらの様子をみて笑った。

「雪田は見ていて面白いな。」
「へっ?」
「なんでもない。じゃあ俺戻るわ。」
「あっありがとうございました!」

宍戸は片手を上げて応えると、背中を向け帰っていった。

その動作がかっこよくて、さくらはしばらくその後ろ姿をじっと見つめていた。


この数日間で宍戸先輩と知り合い、こんな会話までするようになったのは鳳くんのお陰。

何か鳳くんにお礼したいな…。
差し入れとか??

今度関東大会だって言ってたから、そこで差し入れしよう。


思い立ったら即行動のさくらは、さっそく鳳に日にちを聞きに言った。

「ねぇ、鳳くん!関東大会っていつだっけ?」
「…来週の週末だよ。」

鳳くんは心なしかそっけなく言うと、次の授業の準備をして立ち上がった。


「…宍戸さんを応援しにいくの?」
いつもより少し声が低い。

「うーん、そんなところ!」
サプライズで差し入れを持っていったほうが喜ぶと思い、言わないことにした。


鳳くんは教室移動のため歩き出す。
寝起きだから、機嫌が悪いのかな?


「鳳くんも、試合、出るんでしょ?」
さくらも慌てて荷物を持って追いかけた。

「うん。応援してくれる?」
鳳くんは振り向いて不安そうに言った。

「もちろん!」
私がそう言うと、鳳くんはいつもの笑顔を見せてくれた。


やっぱり鳳くんの笑顔は安心する。


私が追い付いて隣を歩くと、鳳くんは歩く速さを合わせてくれた。


本人は意識していないのかもしれないけど、鳳くんは本当に優しくて、笑顔が柔らかくて、一緒にいて安心する。

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