第3章 逆夢
授業が始まってからも長太郎は考え事をしていた。
宍戸さんと雪田さんで俺の話って…どんなことだろう?
また俺のサーブがコントロール酷いこととか?
そんなことかもしれない。
けど、ちょっと期待しているんだ。
どんどん宍戸さんと雪田さんをくっつけてるだけなのに、それでも雪田さんと一緒にいる理由になるから、いいと思ってる。
なにをやってるんだ、俺は。
長太郎は机に突っ伏した。
雪田さんは、俺が雪田さんを好きなことに全く気がついてない。
本当は俺は優しくないんだ。
誰にでも優しい訳じゃない。
雪田さんだけなのに。
顔を上げて、席の離れた雪田さんを見ると、雪田さんも心配そうな顔でこっちを見ていた。
目が合うと、小さく微笑んでまた前を向く。
一瞬の出来事に固まった。
一喜一憂ばっかりだ。
また、長太郎は机に突っ伏した。
さっきのさくらの微笑みを思い出すためか、それとも睡魔が襲ったのか、ゆっくりとまぶたを閉じる。
いつのまにか眠っていた。
「鳳くん、授業終わったよ?次移動だよ?」
雪田さんに、起こされた。
なんて、いい目覚めなんだろう。
「あ、ごめん。」
慌てて起き上がった。
「今も、朝早くから夜遅くまで練習してるの?」
心配そうに長太郎の顔を覗き込む。
「前ほどじゃないよ。」
「そう?身体には気を付けてね。」
「ありがとう。」
そう言って、笑った。
雪田さんが心配してくれるなら、ジロー先輩以上にでも寝るよ。
「…鳳くん。」
さくらは笑うのを堪えきれず、吹き出した。
「前髪はねてる。」
「えっ」
さくらが直そうとすると、長太郎の手とぶつかった。
「ごめん。」
「ごめんなさい。」
同時に謝り手を引っ込めた。
顔を見合わせまた笑った。
いつまでもこうしていられればいいのに。
「さくら、呼ばれてるよ!」
さくらの友達が声をかける。
さくらが教室の入り口に目を向けると、宍戸が来ていた。
「宍戸先輩?何だろう?」
そう呟き、さくらはドアに向かう。
長太郎は寝ぼけた目でそれを見ていた。
宍戸さんが雪田さんに用?
そんなに仲良かった?