第1章 夢見心地
「はいっ」
そう言って、男の子は私の隣に座った。
あれ…?この人、さっきテニスコートの朝練にいたような…。でも、寝坊したって言ってたよね…思い違いかな??
「席のことだが、出席番号順に直すか、このままか、どっちがいい?」
先生はまた話を始め、席は多数決でこのままになった。
さくらはもちろんこのままに手を挙げた。だって、窓側が大好きだからだ。テニスコートが見える。
全ての連絡事項が終わって、先生は1度教室を出ていった。
全体集会まで、15分ほど待機だそうだ。
「あの…。」
隣の男の子が話しかけてきた。
「ん?なぁに?」
さくらは笑いかけた。このクラスになって初めてする会話だった。
「俺が来る前、なにか大事なこと言ってましたか?」
この人、すごく優しい声で話すんだなぁ…なんて、一瞬考えてしまった。
「うんん!先生の自己紹介だけ!あ、自己紹介気になる?」
「いいえ、それなら、聞かなくて大丈夫そうですね。」
そう言ってやさしく笑った。
すごく綺麗な笑顔だなぁ…
優しそうな人だったから、さっきの疑問をぶつけてみることにした。
「あの、違ったら気にしないでほしいんだけど、テニスコートで朝練してませんでした?」
さくらがそう聞くと、彼は一瞬驚いた顔をした。
「うん、実はそうなんだ。俺、テニス部なんだ。後輩が入ってくるまではまだ、片付けとかやらなきゃいけないことたくさんあって…」
やっぱり、いたのか。
宍戸先輩を見ていたときに、背が高いからか、彼のことも印象に残っていた。
「それなら、どうして寝坊したって言ったの?」
「部活のせいで遅刻した、なんてバレたら問題になって、部活に迷惑がかかると思って。」
「あぁ、そっか…」
納得すると同時に、自分の考えがそこまで及ばなかったことが少し恥ずかしくなった。
「さくら~‼」
会話が途切れたところで、廊下から声がした。みると、ゆみが教室のドアまで来てくれていた。
「もう、入って大丈夫だよね??」
といいながら席まで歩いてきた。
「どう、クラスは。って、鳳くんじゃない!」
ゆみは隣の席の男の子を見て、そう 言った 。
「知り合いなの?」
「うん、委員会で一緒だったの。」
「へぇ~そうだったんだ。」