第1章 夢見心地
4月。
氷帝学園中等部は校舎内も外も騒がしい。
なぜなら今日は新学期の初日だから。
友達のゆみとクラス替えの掲示を見に行く。
人を掻き分けてやっと掲示の前に立てた。
「えっと…わたしはF組だ!」
ゆみが見つけるのが早くて焦る。
雪田さくらの文字は…
「あ!さくらはC組だ!」
案の定、先に見つけられてしまった。
「離れちゃったね…」
下駄箱までは一緒に行き、廊下で別れた。
2年C組。しっかり確認して教室に入る。
とりあえずは、好きな席に座っていいらしく、窓側の一番後ろに座る。いいところが空いていた。だって窓からは校庭と…
テニスコートが見える。
テニスコートに目をやり、目当ての人を探すとすぐに見つかった。だってあんな綺麗な長い髪の人、1人しかいない。
(宍戸先輩…。)
去年、こうして窓から見ていて、好きになってしまった。何気なく見ていたのに、気がついたら目が追いかけてしまった。
ゆみに協力してもらって、名前を知った。1個上なことも知ってる。
でも、それだけ。告白なんてしない。
相手はわたしのことなんて知らないし、宍戸先輩がテニスに夢中なのは見てればわかる。
ふと我に戻って教室を見渡すと、もう大部分が埋まってきている。
時計を見ると、チャイムが鳴るまであと5分。
テニスコートに視線を戻すと、片付けが急いで行われていた。
(間に合うのかな…?)
さすが慣れているのか、さっきまでジャージだったひとが次々と制服になって出てくる。
(あ、宍戸先輩。)
どうしても、胸が高鳴る。
(何組になったんだろう。)
宍戸先輩が校舎の陰に入って見えなくなって、外から視線を戻した。
それから1分もせずチャイムが鳴った。
さくらの隣の席は空いていた。
席の数はちゃんと揃ってるはず。
初日から遅刻かぁ。
先生が入ってきて、ホームルームが始まる。
「じゃあ、ホームルームを始める!私が1年間担任を務める…」
先生の自己紹介が終わった頃、急に後ろのドアが開いた。
ガラッ
「すみません!寝坊しました!」
そう言って律儀に頭を下げて、背の高い男の子が入ってきた。息を切らして、急いできたのが分かる。
「おー、初日だから大目に見てやる。空いてるとこ、あそこ、座れ。」
担任はそう言って私の隣を指差す。