第2章 願望夢
「さくらはさぁ、鳳くんについては何も思わないの?」
「へ?鳳くん髪切ってた?」
「そうじゃなくて…鳳くん超モテるのよ?」
「そうみたいだね。」
確かに鳳くんが女子に呼び出されてたり、囲まれてたりするのを見たことはある。
「その彼がさくらに、あの天使の笑顔を向けてるのよ~!?」
「友達だもん!」
そう言いながら、さっきの試合での鳳を思い出していた。
いつもの優しい彼からは想像がつかない、試合での顔。
ドキッとしてしまった。
練習が終わったのは夕方の6時を越えた頃だった。
さくらは鳳を部室の建物の横で待った。
宍戸先輩にも会えるといいなと願いながら。
ゆみが最後までいると言ったのに、『今日夕食作らなきゃいけないから帰るね!鳳くんにお礼言っといて!』といって帰ってしまった。
着替え終わった人から次々と歩いてくる。
鳳くんも出てきた。
「ごめん、待ったよね。」
「大丈夫だよ。そんなに急がなくてよかったのに。」
そう言って、シャツのボタンが掛け違いになっているのを指差した。
「わっ!」
そう言って鳳くんはあわてて直した。
さくらは笑いが漏れた。
「ゆみは先に帰っちゃったんだ。ありがとうって言ってたよ。」
「そうなんだ。」
ようやくボタンを掛けおわって、歩きだす。
「あ!宍戸さん!」
ちょっと前を宍戸先輩が歩いていた。
「長太郎…と雪田、だったっけか?」
「はい!」
覚えてくれてるのが嬉しくて元気よく返事してしまった。
「一緒に帰りませんか?」
ちょっと、鳳くん!?
「俺はいいけど…」
どうやら、さくらと鳳の邪魔になると考えたらしい。
「雪田さんもいいよね?」
鳳くんはこっちを向くと笑った。
ちょっと意地悪な顔。
「うん。」
そんなに、顔見ないで欲しい。
たぶん真っ赤になってる。