第2章 願望夢
日曜日。
「何これ…」
テニスコートを見るギャラリーの数に圧倒された。
「跡部様ーっ!!」
そのほとんどは跡部様?の応援みたい。
「あ、鳳くんいた!」
テニスコートは何面もあって、1つずつ見て、やっと鳳くんを見つけた。
試合形式の練習中みたい。
二人で一緒にやってるからダブルスかな?
そういえば、自分はダブルスだと前に言っていた。
鳳くんと組んでいるのは青い帽子を被った人でよく顔が見えなかった。
それにしても、試合相手の1人はよく飛ぶ人だ…
ときどき『ミソ』とか言ってるのが聞こえる。
宍戸先輩はどこだろう…
他のコートに目をやっても見当たらなかった。
いつも髪が長いからすぐ見つけられてたのに、最近みつけられない。
「すごいっ…」
となりで鳳くんの試合を見ていたゆみが呟いた。
視線の先を見ると、鳳くんのサーブの番みたいだった。
「一球…入魂!」
そう言いながらサーブを打った。
「すごい…」
思わずさくらも同じことを呟いた。
速い。速くて相手も触れないようだった。
いつもあんなに優しくて、綺麗な笑顔を浮かべている鳳くんが、あんなに力強く、速いサーブを打ってるなんて知らなかった。
胸がドキッとしたのを感じた。
結局そのセットはサーブだけでとり、試合も鳳くんたちの勝利で終わった。
タオルやボトルがちょうどさくらやゆみの見ている前方のところに置いてあり、試合を終えた鳳たちが歩いてきた。
「あ、雪田さん、山田さん!」
鳳もさくらに気づいて、片手を上げた。
鳳 はタオルで額の汗をぬぐいながら、さくらたちの前に歩いてきた。
「ちゃんと来てくれたんだ。」
「わたしが無理矢理連れてきたわよ!」
ゆみが言った。
「鳳くんって本当にすごいんだね。」
あのサーブを目の前で見て、実感した。
「そうかな…?ありがとう。」
鳳くんは顔に残った汗をキラキラさせて微笑んだ。