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first kiss

第2章 願望夢


次の日。


今日は朝練は久しぶりの休みだった。

だが、長太郎は5時台に家を出て部室の前に座って待った。

しばらくすると、長太郎の予想通り、宍戸がやってきた。


「鳳、今日朝練ねぇぞ?」

長太郎を見つけて宍戸は驚いた顔をした。

「先輩こそ。」
そう言って、長太郎は立ち上がる。

「先輩、俺も練習付き合います。」

宍戸先輩にレギュラーに戻って欲しい。

宍戸はじっと長太郎を見た。
表情を変えない長太郎をみて、観念したのか、ふっと笑いを漏らした。

「徹底的に頼むぜ。」

その日から、秘密の特訓が始まった。

朝早くだったり、夜遅くだったり。


寝不足になりがちだったが気にしなかった。
授業中も眠ってしまうことが増えた。

教室移動のときに雪田さんが隣に来て、話しかけてきた。

「最近、鳳くん授業中に寝てること多くない?」
「そ、そうかな…?」

俺は雪田さんのなかでジロー先輩化してるのか。

「ちゃんと寝ないと、背伸びないよ?」
185センチある長太郎にさくらは天然なのかそんなことを言う。
身長差から自然に上目遣いになりながら。

思わず見いってしまいそうで、長太郎はあわてて視線をそらした。

「あ、宍戸さん。」

廊下の向こうから来る宍戸に気がついた。

「こんにちは。」
長太郎はすれ違い様に軽く頭を下げた。

さくらがとっさに俯いたこと、その耳が真っ赤なことに長太郎は気がついたが、何も言わなかった。


「あのさ。」
さくらは口を開いた。

「なあに?」
「宍戸先輩と練習とかしてるんじゃないの?」
「えっなんで…」
嘘がつけない性格の長太郎はすぐに動揺してしまう。

「だって、前まで"宍戸先輩"って呼んでたのに、今、"宍戸さん"って、言った!」
そう言って、さくらは長太郎の顔を除きこむ。

「秘密の特訓だったんだけどな。」

教室についた。

「鳳くんって、優しいよね。」
さくらはニコッと笑うと、離れていった。


今度は長太郎が真っ赤になる番だった。
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