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first kiss

第2章 願望夢


『変だよね、私は宍戸先輩と全く関係ないのに。』
そう言った雪田さんは、すごく悲しそうだった。

辛いだろうな、雪田さん。


俺も、好きな人が他の人のことを想っているのを見るのは辛い。
でも、俺は雪田さんと話せる。
優しくすることができる。

でも雪田さんはそれさえできない。


あの日から、なかなか部活に集中できない日が続いた。

サーブが全然入らなかった。

「鳳、関東大会までにノーコン直せよ。」
部活の後、一緒に歩いていた日吉に言われてしまった。

「うん。」
「俺がすぐにお前からレギュラー奪ってやるからな。」
「…。」
「おい、聞いてんのかよ。」
日吉の不機嫌な声。

「ごめん、聞いてなかった。」
「はぁ…。」
ため息をつかれる。

「そう言えば、数学のノート返して。」
「あ、うん。」
長太郎は日吉に数学のノートを借りていた。

鞄の中を探したが、見当たらなかった。

「机の中に置いてきたかもしれない。」
「おい…」
「ごめん、取ってくる!」

日吉に鞄を持ってもらって、教室に走った。

誰もいないと思っていたが、教室のドアを開けると、雪田さんが窓側の席に座って外を見ていた。

雪田さんはドアの音に気づいて振り向いた。

「あぁ、鳳くん。お疲れ様。」
雪田さんは小さく手を振った。

「まだ残ってるの?」
「うん。」
そう言って、また外を眺める。

自分の机に近づき、中を確認すると日吉のノートがあった。


「もう部活は終わったのに?」
雪田さんは部活を見るのが好きで、外を眺めているのだろうから。

「そうだね…。でも、練習は終わってないよ。」
雪田さんは外を見たままそう言う。
その横顔には優しい笑みが浮かんでいた。

「え…?」

どういう意味か分からず、雪田さんの隣に行って俺も窓から外を見た。


「宍戸先輩…」

誰もいなくなったテニスコートで、宍戸先輩は壁打ちをしていた。



雪田さんはそれを優しく目を細めて眺める。


胸が苦しくなった。



雪田さんの想いは、報われるべきだ。
そう思った。



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