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闇の底から

第7章 トラップ?トリップ?


JR新大阪集合と言われたので新幹線で移動かと思いきゃ、そこからバスターミナルへ移動してS大学生医学部軽音楽部様というバスに乗り込んだ。
もちろんガイドさんはおらず、別のバンドの四回生の先輩がマイクを握った。
「ええと、今回の行き先ですが、秘密ということなので東に進むとだけ開示します。以上!」
ご丁寧に目隠しなのかバス特有の広い窓という窓が封鎖されている。
暗いこともあり、寝るメンバーが出てきた。
暫く近所のメンバーと話していた凜も意識を手放した。

渉先輩、凜寝てます。
瑞季からの報告に周囲が沸いた。

その無防備な寝顔を賭けた余興が始まった。



「おい、凜ついたぞ起きろ!」
揺さぶられて起きると……
「東條先生?」何で?と疑問が湧いては消えていく。
「もっと眼が覚めることしてやろうか?」
いたずらっぽく笑う口許を見て疑問があっさり氷解した。
罠ならば掛かってやろうじゃないか。
内心そうほくそ笑んでいることを誰も知らない。

「じゃあ眼覚ましてくださいよ」
わざと肩に寄りかかってみる。寝ぼけているフリは続行。バスは未だ走行中でついた、が嘘であることが判明する。
肩を掴まれ、回転したあと窓に追い詰められて手をつかれた。いわゆる壁ドン状態で。
耳許に手を伸ばし、髪の毛を引っ張った。

「いやだからさ、違うんだってこっち見ろよおい」
バスを降りてからFROZEN FRUITはちょっとした騒動を引き起こしていた。
「提案者も便乗した人も同罪です!大体忘れようとしてるのにわざわざ悪戯までして思い出させないでくださいよっ…もう…諦めたから……だから…もう触れないで」
瑞季先輩、満足されましたか?
そう問いかけるとその肩が揺れた。
「先輩はまだお相手がフリーなんだからいくらでも進めるじゃないですか。羨ましいですよ。」
そういって凜は部屋に荷物を置き、一人で去っていった。


「あれ?軽音じゃね?」
同時刻、目的地に到着してアップをしているサッカー部の集団が一連の騒動を目撃していた。
「今日も絶好調ね、アナとエルサの対立」

頭を冷やすべく、ひたすら走り回っていた。
何が目的なの?何で私なの?
本当に好きなら正面からぶつかればいい。
私が疎ましいなら正面切って言えばいい。
アナをやりたいなら言えばいい。
何ならFROZEN FRUITから追い出せばいい。
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