第1章 3月9日
そしてその日のうちに弟は亡くなった。後から訊いた
話だが、腎機能低下が原因らしい。
それから1年が経ち、また弟が生まれた。病弱で幼少期はずっと入退院を繰り返していた。そんな弟が原因不明の重病を得て、両親はあちこちの病院に弟を連れて行った。ある病院のおじいさん先生の手により救われた弟は今も生きている。
医者を目指す理由はそれだけで十分だったが調べれば調べるほど、国境なき医師団や、日々進歩して救える人が増えていく医療技術の領域の拡大が見えてきて他の道など考えられなかった。
中学受験をして志望校を在学校にし、出身校とした今もその想いは変わらないし揺らがない。ただ少し、そう、学力が足りない。浪人を1年だけ許すというご両親も凜が医師になることを夢見てるんだよ、ととある人の言葉が頭に響き渡る。
思わず足が止まった。ちょっと待てあの声は誰のだ誰が私にそんなことを。そもそも両親はどこへ行った。弟と双子の妹は?なんで家に誰もいなかったのか。
キーーーンッ!!!!!物凄い耳鳴りがする。上手く息が出来ない。歩き出すがヒールで足元が不安定で敢え無く転ぶ。
なんでなんでなんでなんでなんで、今まで何も疑問に思わなかったんだろう?ねえ?だれか教えてよ…