• テキストサイズ

闇の底から

第6章 葛藤


今度の軽音楽部ライブでは渉先輩と相楽凜のダブルボーカルで、ゆずの曲を演奏する。
どちらがメインボーカルをやるかについて争い続けた二人の結論はコイン投げに収束した。
部員が見守る中見事勝ち取ったのは凜で、せめてもの仕返しということで渉先輩に「お前もギターくらい弾けるようになれ」と特訓されている。

噂で聞いたことがある。
相楽凜は東條輝を追いかけてS大に入り、東條輝の彼女の三神玲を知って身を引いた。
渉先輩は黙っていたら輝先輩と髪の色以外は瓜二つで
相楽凜は渉先輩を通して輝先輩を見ている。
そんな気がしてならない。
私の恋を終わらせないで。
あなたが来たから私は深淵に沈んでしまう。
あなた知らないでしょう?
FROZEN FRUITの由来も、
私が元々はボーカルだったことも。
妖艶なその眼で人のことを見ないでよ。
渉先輩をその眼に映さないで。
惑わされちゃうじゃない。
いつわかるのかしら。この子に。
私は三神玲の味方であなたの所業が漏れているということが。
口ではブスとか言いながらもあなたのことを気にしてやまない渉先輩の真意が。


当日、野外ステージには人が溢れかえっていた。このバンドの持ち時間は15分。
ゆずのyesterday and tomorrowに始まり、西野カナのAlways。いきものがかりのキラリ。そして瑞季先輩とのダブルボーカルで二曲。
久し振りに気分が高鳴る。
/ 56ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp