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闇の底から

第3章 一回生の紅一点?!


私を横に立たせた学部長は声高らかに宣言した。
「今日から彼女は医学科一回生の女神だ!」
段の下では開いた口が塞がらない生徒。
段の上では凜の奇声。
「が…が、がが学部長先生!!私の他にも女子生徒は『おらんよ今年は!いやあ君の面接のことはよく覚えておるよ。こんなに気骨のある生徒は実に久しぶりだ。』

膝から崩れ落ちる私を支えたのは力強い腕だった。
「息子よ、一回生の女神は丁重にお相手しろ」
腕の主は振り返ろうとする私の目を手で塞いだ。

手だけで誰かわかってしまった。おかしな話なんだけど。


「東條先生こんにちはー!」
え、なんで、と相手が驚愕した。スルリと解けた腕から抜け出すと、金髪が目に入った。
え、あれ、違うごめんなさい人違いです!
と謝る私に段の上から助けが入った。
「渉(わたる)、そこまでにしときな。」
救世主は玲さんだった。どうやら逃れられない運命らしい。
「はーい、じゃあ哀れな一回生さんにひとぉついいことを教えてあげよう」
玲さんがニヤリと笑う。
「今のうちにかわいい他学部生つかまえておくことだな!はははは」
玲さんかっこいい!
凜の声に頭を抱える宗馬は部屋を出るときに頭をぶつけた。

「女神ってあはははっ!似合わねー」
爆笑したのは学部長 東條の息子、東條渉。
こーんな残念な女神様聞いたことねぇや。
私だってそうだよ、とやりきれなくって涙が一筋頬を伝った。
「かわいー女の子と仲良くやっていくつもりだったのにい…むさ苦しい男集団じゃんイケメンいないし。」
「それはそうとさっきの人違いって何アンタ?誰と間違えたっての?」
ヤバいこの人。東條先生と対極すぎて掴めないしなんか怖い。金髪怖い。

「東條先生ですってば!」
無性に腹が立って仕方ない。「不細工ならほっといてくださいよ、本当に。そんなのずっと前から知ってるんですから。不細工舐めてるんなら足元からひっくり返してやる。学部長の息子さんでも、誰だろうと。かわいい非力なオンナノコよりは将来的な戦力になるでしょ?売れ残るんだから。」
そこまで畳み掛けてようやくその場が凍りついているのを察知した。
ドアが開く。
「誰が売れ残るだー?お前は売り物以前の問題だ!おちょくりに安易に乗るなバカモン!」
「いやあホンモノ出たよ怖い!ちょ、玲さん助けて!」


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