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闇の底から

第3章 一回生の紅一点?!


大学には人が収まりきらないということで、コンサートホールの会場か、と突っ込みたくなるような場所で入学式!みんなスーツだけど私はどちらかというと保護者寄りの服装。お母さんが自分の入学式で着たというジャケットに自前のスカート。
「はよっす、凜!」
あんたチャラいよ、と振り返ると宗馬が固まった。
そんな宗馬の後ろから「凜ーー!」と声がかかる。
「桜さんご無沙汰しています。今日はわがまま言って混ぜてもらいました。よろしくお願いします。」
ぺこりとお辞儀をすると桜さん、もとい宗馬のおばあちゃんはニヤリと笑った。
このニヤリ、が大好きなのだ、私は。
「凜姉雰囲気変わった?」
宗馬の弟、響がひょっこり顔を出した。
「そりゃあ凜は女の子だもの。元から可愛いのがさらに可愛くなっただけね。」

「あんた惚れたか?」
油断も隙もないばあちゃんに囁かれて俺は体感温度が上がった。この前会った時と違うのは、化粧。
無くても十分綺麗だがあればさらに引立つ。薄化粧なのにドキドキする。スカート姿を見たのも桐桜の制服以来だ。
「おい宗馬置いてくよ!」
少し前を歩く凜に競争な、と持ちかけると、ヒール折れるから無理、とあっさり断られた。


この後起こる波乱をまだ俺たちは知らなかった。



全体での説明が終わり、学部学科ごとに分かれた時。
「かわいい女の子いるかなー」とはしゃぐ凜を横目に、ここ桐桜じゃないからあんま変なことすんなよ、と釘を刺した。
近くにも同じようなことを言っているチャラい集団がいて、心から凜が心配になった宗馬だった。

「医学科へようこそ諸君!」
白衣ではなくスーツで登場した学部長に生徒たちの緊張は一気に高まる。なぜか面接の時にいきなり入ってきて質問されたんだっけ…と思い返す。
「そこのスカートの君!」
びしいっと手を向けられ、キョロキョロするが、スカートの君はどうやら私のようだ、と思い返事をした。
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