第1章 時を経て。
俺が見たのは一筋の涙。
けど、アルミンから聞くとあの後…
兵長は俺の首から上の頭部を抱き泣き崩れたと聞いた。
人類最強の兵士が泣き崩れる様を
誰が想像しただろうか。
表情がないのかと思う程に
無愛想な男の涙を誰が理解できただろうか。
その後…兵長は前にも増して
何も食べず飲まず…睡眠もろくに取らず…
壁の外に出る事もなく…
そして…誰も愛さず
1人、ひっそりとソファーの上で冷たくなっていたそうだ。
首には俺の家の地下室の鍵をぶら下げて。
俺が処刑されて2年と3ヶ月後の事だったらしい。
845日後…だったそうだ。
俺はさっきのあの人を掴んだ、自分の手を見つめた。
「エレン…?大丈夫?」
アルミンが心配そうに俺を覗き込む。
『あぁ。』
「仕方ないよ。会えただけでも良かったじゃないか。」
『あぁ…』
アルミンの声は、届いていなかった。
また触りたい…会いたい…それだけだった。