第1章 時を経て。
処刑台に膝間付き、処刑される時刻を待っていた。
その横でただ立っているだけの兵長。
処刑台から見下ろす景色は最低だった。
泣き叫ぶ顔見知りの奴らや
殺せと罵倒する市民の奴ら。
その横でただ、ただ何も言わず立つ兵長。
兵長には…どんな景色に写っていたのだろう。
鐘が大きく揺れ、街に音が響きわたる。
ーー処刑の合図だ。
さっきまで立っていた兵長が
俺の前に屈み片膝をついた。
一瞬で…鐘以外の音は聞こえなくなった。
そして、俺の唇にキスをした。
「エレン・イェーガー…最後に残す言葉はないか?」
『…世界は美しかったです…兵長…っ。
ありがとうっ…ございました…っっ…』
スッと立ち上がった兵長を見上げると…
あの人の目からは一筋の綺麗な涙が伝った。
俺は笑った。
流れ落ちる涙と共に笑った。
声には出さず…あの人に伝えた。
『…愛しています…』
「あぁ。俺もだ。」
それが俺の最後の記憶だった。